「鉄板少女アカネ」の堀北真希について その1

今クールのドラマは、なかなか良作が多いと思って、
まず、「14才の母」に始まり、
のだめカンタービレ」、「Dr.コトーの診療所・2006」、
セーラー服と機関銃」、
それから視聴率こそ裏番組のせいで低迷する「嫌われ松子の一生」など。
あと、「役者魂」とかもありますね。


で、問題は「鉄板少女アカネ!」です。
このドラマは主演・堀北真希で話題になったのですが、
いまいち視聴率が悪い。実数は第1回が11%前後(関東)と散々です。
まぁこの作品は原作がマンガなんですが、
とりあえず、そのマンガが「のだめ〜」ほど知名度が高くないんですよね。
確かにこのドラマ化でマンガの売り上げが伸びるでしょうから
それはそれでいいんですけど、
問題なのはドラマの方です。


私が一番問題だと思うのは、主演に堀北真希を据えたことです。
このドラマの製作陣は、前々クールの「クロサギ」からの流れらしいですが、
まぁそういういきさつもあってのことでしょうか。
しかし、それが堀北真希の地上波初主演で話題になるものの、視聴率低迷、と。
私がこれまで2回ほど述べたことですが、
堀北真希の基本的な印象が、アカネには合わないんです。
堀北自身が「打倒「堀北真希」」と述べるように、
堀北真希」の固定イメージを打破して
女優としてのキャリアを積み上げたいと思ったのかもしれませんが、
しかし、それにしても、ミスマッチしすぎている。


最近、私が考えることですが、
若手女優も、一時のアイドルが背負った一部の要素を抱えなくてはならなくなった
と思うわけです。
それはどういうことかというと、
アイドルというもののイメージがこれまで「総合的」だった、
つまり、一種のかわいさや美貌をベースとして
歌から舞台からドラマから映画からグラビアから
何でもこなしていたが、それがやっていけなくなったということで、
専門職の女優も、アイドル並のかわいさや美貌が求められるようになった、
しかもアイドルのように、そのカテゴリが再分化されるようになった、
つまり、ただ単にかわいいというわけではだめで、
そういった感じでかわいいのか、というイメージが定着しなくてはならなくなった
と思うわけです。


そうすると、堀北真希がなぜブレークしているのかと言うと、
その演技力もそうなんですけど、
(正直言ってそれだけでは彼女はやっていけなくて、)
知性的なかわいさを持ち合わせているからなんですよね。
つまり、知性派でかわいくて(影のあるような)演技がうまい、という部分で
彼女のイメージが市場にマッチングした、というわけです。
つまり、堀北真希堀北真希で売れるためにはどうある必要があるかと言うと、
だから決して山Pと一緒じゃないといけない、っていうわけではなくて、
この3つの要素のどれだけがその作品に適合したか、ということなんです。


そうすると、一見「堀北真希」のイメージに適合しないようないくつかの作品、
野ブタをプロデュース。」だと、
かわいさや影の描写は十分に適合していて、
そして確かに知性的な部分は適合していないかもしれないけど、
その反面、反知性的な描写は一切出てこない、
つまり知性的かどうかには触れていない、ということで、
大部分を適合させるに至っているわけです。
また、「Always 三丁目の夕日」についても、
知性派というところは、仕事を覚えることに寡黙になっている、というところで
十分に代用できているわけです。


今回の「〜アカネ!」は、その反面、
まず、作品の描写が
ケータイ刑事」ばりにコメディータッチになっているわけです。
そこで、影の描写は生かせなくなるんですよね。(これが大きいと思うのですが。)
それから、知性的というところに関しても、
勉強すると言うところよりは、熱さで勝負するという描写がなされていて、
ここも彼女のキャラクターとは合致しないわけです。
それから、アカネのイメージとして、
本当にかわいさが求められるのかと言うと、作品的には疑問です。
こうやって見ると、この堀北真希のキャスティングが
本当に妥当であったかどうか、ということについて、
答えが自ずと得られると思います。


これは私の憶測なんですが、
堀北真希のかわいさばかりを前面に押し出しているのが問題なんだと思います。
若手女優であれ、アイドルであれ、
単にかわいいというだけでは、売れないわけです。
堀北真希が、若干18歳という若さでこれだけ注目されているのも、
彼女に独自のキャラクターが定着されたからであり、
また各作品がそれに合致できたからなんです。
だから、もし堀北真希のかわいさだけで今回キャスティングされたとすれば、
結果的に視聴率が低迷していることを考えると、
あまりに安易なキャスティングだったとしか考えられません。
また、その結果、成長中の堀北真希株にも傷がついてしまうことを考えると、
非常に残念なことをしれくれたな、と思っています。