日本”初”の新規LRT、富山ライトレール試乗記

mzkyrhjmy2006-07-01

最近、公共交通について再考され始めていますが、
特に路面電車の重要性について見直されていることは、
皆さん、ご存知でしょうか。


路面電車と言っても、従来のチンチン電車ではなくて、
LRT(新型路面電車)です。


路面電車導入のメリットというのはいろいろあるのですが、
大きく分ければ、
・交通弱者の交通権保障
・市街地活性化
という2点に絞られると思います。


実は、今年5月、富山県で新規建設のLRTが初めて開通しました。
その名も、富山ライトレール
従来、JR西日本富山港線というのが走っていたのですが、
北陸新幹線開通に伴う富山駅高架化に関連して、
富山港線は一時廃止も検討されました。
中心市街地活性化に取り組もうとしていたその地域の人たちは、
富山港線の復活を、LRTに生まれ変わらせることによって、図ったわけです。



開通してから約2ヶ月近く経った、今日、
丸一日時間とることができたので、
富山ライトレールの開通後の状況について確認すべく、
試乗してきました。
私は以前の富山港線にも乗車したことがあるので、
そのときの記憶と照らし合わせた上で気になったことを
ここで記録しておこうと思います。


まず、改善された点ですが、山ほどあります。
運賃は200円均一、しかも昼間・土日は100円と、
「乗りたくなる」価格となっていたことは大きいでしょう。
また、運行間隔も以前の数倍、15分に1本となっていました。
区間乗車はあまり見られませんでしたが、
私のような試乗組以外の、以前は昼間は皆無に近かった地元客も多く見られ、
乗車率向上についてはまずまず健闘しているみたいです。


それから設備面についてです。
これまでのローカル線から一変して路面電車になったことで、
「乗りやすく」なったことは明白でした。
低いホーム・低い床、富山駅ロータリー内乗り入れなどが挙げられます。


一方で、今後見直すべき点について。
まずは、渋滞対策です。
富山駅付近2駅間は、路面上を走ることとなりました。
もちろん、軌道敷設に際し、道路の車線は削減されたようです。
車内から確認した限りのことですが、
土曜日ということもあって、交差点付近で非常に渋滞していました。
路面電車敷設に際し、車線削減は渋滞を引き起こすことに直接つながらない、
とする交通経済学的弁証はこれでは通用しません。
新規敷設としては日本初のケースであり
各地から視察団も多くやってくることでしょうが、
今後敷設されるケースのためにも、
ぜひとも、この渋滞問題については改善していただきたいと思います。


それから、富山駅北停留所のアクセスについて。
富山駅北陸本線を境に南北で明らかに活気の格差があります。
活気があるのは南口であり、
北口は北日本放送などのオフィス街のようなイメージがあります。
また、南北間のアクセスも非常に悪く、わかりづらかったです。
今後、JR富山駅の高架化後は、南北間も平面でつながりますし、
ライトレールも、南口側を走る富山地方鉄道路面電車と接続する予定ですから、
今後改善される見込みがあるのはわかりますが、
それまでの間のアクセス改善についての具体的政策について
考えた方がよさそうです。


最後の課題は、フィーダーバスの活用について。
ライトレール開通にしたがって、
それまで富山駅まで直接バスで向かえたのが、
フィーダーバス化することで乗換えを強いられ、
逆に不便になった、という意見があるそうです。
フィーダーバスとはそもそも、
同じホームで乗換えができることがメリットなのですが、
それすらも不便だと感じられてしまうということは、
今後、フィーダーバスを元の路線形態に戻すのではなく、
フィーダーバスの特性を乗客に理解してもらったうえで、
以前のバスよりも早く快適に目的地に着くというメリットについて
追求した方がよいのかもしれません。



富山ライトレールの取り組みはまだまだ始まったばかりです。
開通してまだ2ヶ月、試乗組もまだ目立つ中で、
夏休みを越えた後、どのくらい健闘するかが、
富山ライトレールの今後、
いや、LRT政策の今後を担っている、と言えるのではないでしょうか。


以上、簡単な富山ライトレール試乗記でした。
(写真は終点の岩瀬浜駅。)